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エアコンのガスと地球温暖化   

フロン排出抑制法 概要

オゾン層を守り地球温暖化を防止するためにビル空調、食品のショウケースや業務用の冷凍・冷蔵庫、冷凍倉庫などの業務用冷凍空調機器からフロン類を適切に回収することを目的とした法律です。

平成14年4月に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収・破壊法)」が施行され、平成19年10月に改正がなされました。 (平成27年4月にフロン排出抑制法に改正されました)

この法律では、フロン類の適正な回収・破壊によるフロン類の大気中への放出を抑制するため、業務用冷凍空調機器に冷媒として使用されているCFC・HCFC・HFCの3種類のフロン類を対象としています。

フロン類を大気中にみだりに放出することの禁止、機器の廃棄の際のフロン類の回収・破壊を義務付け、 機器廃棄時の行程管理制度(フロン類の引渡し等を書面で補足する制度)の導入、機器整備時の回収義務の明 確化等の措置が講じられています。

この法律の施行により、業務用冷凍空調機器を廃棄しようとする事業主及びユーザーは、都道府県知事認定のフロン回収業者にフロン類の回収・運搬・破壊を依頼し、その処理費用を負担しなければなりません。

※家庭用の冷蔵庫及びエアコンは家電リサイクル法に基づいて、カーエアコンは自動車リサイクル法に基づいてフロン類の回収が行われます。

※業務用冷凍空調機器は、フロン回収破壊法に基づいてフロン類の回収が行われます。

代表的なフロンや代替フロンの種類と特徴

CFC

先進国では1996年に全廃、途上国では2030年全廃。塩素を含みオゾン層の破壊の程度が高い化合物R11・R12・R113・R114等(オゾン破壊係数:0.5~1.0)

HCFC          

先進国では2020年に全廃、途上国では2030年全廃塩素を含んでいるが水素があるためオゾン破壊の程度が小さい化合物、R22 ・R123・HCFC-141b等 (オゾン破壊係数:CFCの約1/10~1/50)

HFC            

塩素を含まず水素を含んだオゾン破壊が全くない新代替物質 ※R134a・R32・R125・R410AR32等(オゾン破壊係数ゼロだが温暖化係数は高い)

ルームエアコンに使用されていたCFC冷媒(R12)や代替冷媒であったHCFC(R22) は、オゾン層を破壊することが分かったために2003年頃からオゾン破壊係数がゼロである新代替冷媒 HFC(R410A)が使われる様になりました。

※2013年ごろからHFC32(R32)が主に使用されています

  ガス 大気中寿命(年) ODP GWP(20年) GWP(100年)
CFC R12  100 1.0 11000 10900
HCFC R22 12 0.055 5160 1810
HFC R32 4.9 0 2330 675
R125 29 0 6350 3500
R410A 0 4340 2090

ODP(オゾン破壊係数)
オゾン層の破棄に関する程度を表す値で、同一質量のガスが大気中に放出された場合のオゾンへの影響をCFCのR11と比較して示した値です。
(R11とR12が1.0で最大)

GWP
ある期間でのガスの温暖化効果を二酸化炭素のその期間での温暖化効果を“1”として数値で表現したもので、一般的に用いられている温暖化評価手法です。(GWP100がおもにつかわれる。)

現在のエアコン冷媒の主流であるR410A(R32とR125が半分ずつの混合冷媒)はODPオゾン破壊係数はゼロだがGWP(100)は2090と非常に高いといえます。

エアコンの冷媒の温暖化効果は二酸化炭素の数百倍から数千倍とものすごく大きく、1kgの冷媒を 漏らしてしまうと2トンほどの二酸化炭素を放出したことになり、その環境への影響はす ごく大きなものになります。

国民一人あたりが排出する二酸化炭素の量は一日平均で約60キロぐらいと計算されていますが地球温暖化対策のために冷暖房を弱めたり、レジ袋をマイバックにする等して1人1日1キロの二酸化炭素の排出を減らそうと努力しても、エアコンの冷媒を少しでも大気に放出してしまうとこの様な努力はすべて無駄となってしまいます。


参考:冷媒回収推進・技術センター(RRC)
真空引きの様子

フロン回収作業